過去には、バケットの爪に吊り用具を掛ける、吊り金具を溶接するなど、非常に危険な状態で作業を行っており、荷の落下による人身災害が増えてきました。
この状況をふまえ、法令が制定され、要件を満たした油圧ショベルであれば、移動式クレーンとして吊り作業を行うことが出来るようになりました。
その要件の一つであるフックをマーテックで開発することとなりました。

当初は輸入フックを組み合わせていたのですが、脱落等の問題により、内製化する方向で開発することになりました。
最初の内製品の開発では、回転機構にベアリングを採用していたのですが、脱落の問題は完全に解消するには到りませんでした。
そこで、回転機構を鋼球を使用した構造に変更し、建機メーカーに提案してみたところ、日ごろからフックの問題で頭を悩ませていた建機メーカーも加わり、共同開発にてショベルクレーンフック(T-REX)が開発されました。

いままで吊り作業の時にクレーン車が必要でしたが、クレーン車の搬入が困難な現場が多いことやクレーンを持ってくる費用がかかるといった問題がありました。
クレーン機能付き油圧ショベルが移動式クレーンと認められたことによって、そのような問題の解決に役立てているではないかと思います。
マーテックではクレーン機能付き油圧ショベルのフックを国内の全建機メーカーに納入しており、シェア100%であり、弊社の売上の柱となっています。
先人が残してくれた設計思想を大切にし、それに甘んじることなく今後もお客様の安全、利便性に貢献していきたいと考えています。